一生後悔する前に。子育てにおけるNG行動とは
全国のパパさん、ママさん、毎日育児お疲れ様です。
そしてこれからパパ、ママになる人もこれから先不安な事が多いと思います。
親として子供に何が出来るのか、子供の将来はどうなるのか…。
心配事を挙げればキリが有りませんよね。
子育ては楽しいことばかりではありません。
育児がイメージ通りに出来なくてイライラしてしまう事、子供が思い通りに言うことを聞いてくれず、ついつい当たってしまったりする事もあるでしょう。
当然どんな親でも子供の幸せを願っていると思います。
しかし、日常生活において、無意識の内に子供に悪影響を与えているかも知れません。
そしてその行動は、子供の精神だけでなく、健康にまで影響を及ぼす可能性が示唆されているもの有るのです。
育児においては日々様々な研究が行われており「親の行動が子供に与える影響」に関しての研究も進んでいます。
今回はそんな研究結果を基に、子育てにおけるNG行動をまとめました。
【前編・中編・後編】全3部構成でお届けします。
【NG行動①】嘘をつく
「冗談の様な嘘」が成人後に悪影響を及ぼす可能性
子供が何か悪さをした時、「いい子にしてないと警察に捕まるよ!」とか、買い物途中で駄々をこねる子供に対して「良い子にしてないとここに置いていくからね!」というような、子供のしつけとしてこんな言葉を掛ける事ありませんか?
驚くべき事に、この様な「嘘」は長期的に見ると子供に悪影響を及ぼすという研究結果が発表されました。
参考資料:
Parenting by lying in childhood is associated with negative developmental outcomes in adulthood – ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S002209651830540X
Children told lies by parents subsequently lie more as adults, face adjustment difficulty — ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/10/191002102759.htm
上記の様な「嘘」は、時間に追われる育児の中で、子供にも理解しやすい様に、分かりやすくした結果出た「嘘」なのですが、普段は「嘘をついてはいけない」と言う親が嘘をつくと、こんな「嘘」でも、子供は矛盾に悩まされてしまうとのこと。
ある研究チームがトロント大学やカリフォルニア大学と共同して行った研究では、シンガポール人の若者379人に対してアンケート調査を行いました。
アンケートでは、まず最初に「子供のころに親から嘘をつかれたことがあるか?」を尋ねました。嘘の内容は子供を親に従わせる目的のものに限定されており、「食事の内容に関する嘘」「移動や退去に関する嘘」「子どもの不正行為に関する嘘」「物品の購入に関する嘘」といった4つの種類の「嘘」があったかどうかを思い出してもらったとのこと。
代表的な例としては、「今すぐ一緒に来ないなら、ここに置いていくよ」「今日はお金を持ってないから何も買ってあげられないの」といった嘘が挙げられます。
次に、研究者は被験者に対し「大人になってから両親に対してどれほどの頻度で嘘をついているか?」を尋ねました。
ここでの嘘も様々な種類がありますが、「活動や行動に関する嘘」「他人の為の嘘」「出来事を誇張する嘘」といったものが対象となります。
最後に、「自分が社会心理的に不適合であるかどうか」についての自己評価と、「利己的または衝動的な行動をしてしまう傾向」についてのアンケートも行われました。
これらのアンケート結果を分析した結果、子どものころに親から多くの嘘をつかれた人は、大人になってから親に嘘をつきやすい傾向がみられました。
また、攻撃性や規則違反といった問題行動を起こす割合が高く、罪悪感や恥を覚えやすく、利己的な性格である割合も大きくなったとの結果が出たのです。
親が子どもに嘘をつくことに関して、「親の嘘がどのような目的でつかれたものか、どのような内容だったのか」という点も、重要です。
今回の研究は「親がどれほど嘘をついたか」という点が子どもの記憶に依存している為、今回の研究はあくまでも相関関係を見つけたものであり、因果関係を証明したものではないので、全てが全て当てはまる訳ではありません。
将来的にはより多くの情報源からデータを収集することで、より正確な研究が出来ると言われています。
嘘にも種類があり、「いい子にしてないと海に投げ入れて魚のエサにしちゃうよ」といった親の権威を振りかざす嘘と、「サンタさんはいるよ」といった子供に夢を与える為につくロマンチックな嘘では、子どもに与える影響が違ってくる可能性もあるからです。
ですので、現段階では「どのような嘘を特に避けるべきか」といったことも、将来的な研究により判明する可能性があるとの事です。
ただ、一つだけはっきりしている事は「嘘をついてはいけない」と言う親が嘘をつくことで、子供は矛盾に悩まされてしまうという点と、軽い気持ちでついた嘘が子供の将来の性格にまで影響を与えるという事は間違いないでしょう。
【NG行動②】子供の前での「スマホ利用」(親のスマホ依存)
今や様々な連絡や調べ物、買い物までを人類の叡智の結晶、スマホで完結出来る便利な時代になりました。
パパさん、ママさんでも活用している方は多いと思います。
しかし、そのスマホの活用の枠を超えて「スマホ依存」になっていませんか?
子供に、向き合う努力はしているけれど、ついスマホを触ってしまう。
寝かしつけの時に布団の中でスマホを触ってしまう。
そんな事ありませんか?
ハーバード大学の研究チームが「子供の前での親のスマホ利用による子供の脳に与える影響」を調査した結果、スマホを操作しながら子供と接する時間が長くなると、例えそれがまだ何も分からない赤ちゃんだったとしても脳に影響を与え「子供の自己肯定感の低下」、「子供の意欲低下・無気力状態」に繋がる可能性がある、という驚くべき内容だったのです。
親が子供の前でスマホを触ることで与える影響を2つ紹介します。
アタッチメント問題
「アタッチメント」とは親と子供の間に形成される愛情を指しており、心理学などで用いられる言葉です。
例えばママさんがパパさんに対して、
「今日(息子)ちゃんがブロックでこんなの作ったんだよ!」
「今日出掛けた時に外で(娘)ちゃんが大泣きして疲れちゃった…。」
なんて一日の出来事を話したとします。
ママさんは話を聞いて欲しいのに、パパさんはスマホをいじりながら
「へ〜すごいね〜」
「大変だったね〜」
と反応が薄かったらどう思いますか?
愛情が感じられない…なんて思いませんか?
実は何も分からない赤ちゃんでも同じ感情を抱いています。
ハーバード大学と福井大学が共同で行った研究があります。
育児において、
①子供を怒鳴る
②すぐに子供を叩く
③感情に任せて子供に対する態度をコロコロ変える
これら3つはどれも子供に悪影響を与えるだろう…というのは何となく分かるかと思います。
今回行われた研究では、
①子供にスマホを与える
②授乳中にスマホを操作する/SNS・動画を閲覧する
といった行為は上記の3つと同じレベルで子供に悪影響があるという事が分かったのです。
具体的にどの様な悪影響があるのでしょうか。
この研究ではまず、スマホ育児など愛情不足で育った子供と、問題のない子供をMRIで比較を行いました。
すると、愛情不足の子供は「お小遣い」の様な「報酬」を受け取った際も脳が活性化しなかったという事が分かったのです。
つまり、これは「どんな状況でもモチベーションが上がらない」「「頑張ろう!」という意欲が湧きにくい」という事を意味しています。
別の研究では、親がスマホ操作に夢中で、赤ちゃんへのコミュニケーションが少なくなると、無表情だったり、喋らなかったり、泣かないサイレントベビーになってしまう事が多い、という研究結果もあり、子供の前でのスマホ利用というのは大人たちが考えている以上に悪影響を及ぼす、という事が分かりました。
サイレントベビーは、言葉を発するのが遅れたり、コミュニケーション能力が低く、将来必要な社会性の基礎が身につきにくくなると言われています。
言葉を喋る前の赤ちゃんは、親とのコミュニケーションがとても重要とされています。
色んな言葉を掛けてあげる事で、子供は言葉や表情、感情を身に付けていくのです。
幼児を相手にする場合は、幼児が見てほしい、聞いてほしいということに応えずにいると、無表情で、やる気がない人間に育つ可能性も研究によって示唆されています。
「極端な話しでしょ。」って思う方もいるかもしれませんが、この様な知識を頭の片隅にでも置いて頂き、スマホが子供に与える危険性を知った上で活用して頂ければと思います。
スマホ・ネグレクト
「スマホ・ネグレクト」という言葉をご存知でしょうか?
そもそもネグレクトとは直訳すると「無視すること・怠ること」を指しており、「育児ネグレクト」は近年虐待の一種とされて知られています。
ではこの「スマホ・ネグレクト」とはどの様な状態を指すのでしょうか。
そもそも何故1日の中で何度も、それも数分置きにスマホを確認してしまうと思いますか?
それはLINEやTwitter、Instagramを始めとしたSNSアプリ、ゲームなど、スマホに映し出されるものは長時間滞在させる工夫と何度もチェックをして貰う為に、人間の脳が快感を感じる様に設計されているからです。
特に真面目に頑張っている親御さんは子育てに追われ、ストレスも掛かり、刺激も少ない日々の中にいる事が多い為、特にそれらに魅力を感じてしまうものなのです。
更に、SNSには孤独感を助長したり、自信を失わせる作用がある、という研究結果も多く報告されています。
しかし、これらは厄介な事に中毒性が有り、やめにくい、という特徴もあります。
「スマホ・ネグレクト」とは「育児ネグレクト」とは違い、完全に放置している訳ではなく、例えば食事中に親がスマホばかりを見て子供との対話が減るといった、程度としては通常の育児ネグレクトより小さいものと言えます。
これこそが最大の問題で「自分は子供とコミュニケーションを取っている」「会話をしている」つもりになっているのです。
その為、スマホ・ネグレクトは当事者に問題意識がなく、無意識の内に子供に悪影響をもたらします。
家族の大切な対話の場である食事中にも、親はスマホばかり見ているのですから、「パパ、ママは自分の事を大事に思ってくれている」という実感を子供は得にくくなり、軽度の愛着障害を引き起こします。
「愛着障害」が起こると社会性や共感性の発達に問題が起きたり、安心感が乏しくなったり、知能の発達に影響が出てきます。
また、多動や情緒不安定、注意力欠如の他、対人関係にも影響を及ぼします。
2016年に出版された『ママのスマホになりたい』(WAVE出版)という絵本をご存知でしょうか?
これはスマホ依存症の母親に対する子供の心の叫びを描いた作品です。
是非一度読んでみて下さい。
あなたの子供も、言葉に出来ないだけで登場人物と同じ様な寂しい感情を抱いているかも知れません。
現代社会を生きる上で、スマホは必需品です。
しかし、子供の将来にまで影響が出てしまうという事実を認識しながらスマホを使わないと、子供が大きくなった時に悔やみきれない後悔をするかも知れません。
今回のまとめ
子供は親が考えている以上に感受性が豊かです。
親の何の悪気もない会話や行動で、子供は考えられないほどの影響を受けます。
今回、スマホの利用による子供への影響に触れましたが、スマホは親御さんにとってもストレスの原因になっているケースも多いんです。
例えば、育児に関する情報をSNSで調べて実践なんてのは、今の時代日常茶飯事ですよね。
しかし、SNS等で紹介している様に実践しても思うようにいかなくてストレスを抱えて、またイライラ…。
そんなイライラした感情で子供に接してしまって、一人になった時にふと「自分は親として失格なんじゃないか」と自己嫌悪に陥るという負のスパイラルに突入してしまう方も多いのだそうです。
あまり抱え込まずに自分のペースで育児と向き合いましょう。
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