【子育てNot to doリスト 中編】

生活

前回の【子育てNot to doリスト 前編】にて、「親が子供に嘘をつく」「子供の前でスマホを触ることで与える悪影響」をお伝えしました。

今回は「子供に対して冷たい態度で接することによる悪影響」、「両親の喧嘩が与える悪影響」、「体罰」に関する研究結果をまとめたものになります。

子供に冷たく接する

第3のNG行動は「子供に冷たく接する」育児スタイルです。

子供に対して冷たく接するなんて、どう考えてもダメに決まってますよね。

わざわざ研究する程の事何でしょうか?

実はこの「冷たく接する」ことによって、「子供の遺伝子」に影響を与える事が研究で明らかになったのじゃ。
遺伝子は生まれた瞬間に決まっていると思っていたが、親の行動次第で子供の遺伝子に対してネガティブな影響を与えてしまう事分かったのじゃ。

しかもその影響は精神的なものだけでなく、健康にまで害が及ぶという驚くべき研究結果がでたんじゃよ。

「子供に冷たく接する」
これはどう考えてもNG行動に決まってますよね。

ただ、この親が子供に対して冷たく接するという行動。
実は私たちが想像している以上に子供に悪影響を与えます。

それは子供の遺伝子にまで影響を与えるのです。

「テロメア」が縮む

まず、今回の研究で分かった事は、「親が冷たいとテロメアが縮む」というものです。

テロメア」…あまり聞き馴染みのない言葉ですよね。

テロメア (telomere) とは真核生物の染色体の末端部にある構造で、染色体末端を保護する役目を持っています。

そのテロメアは、生きている中で細胞分裂を繰り返す中で縮んでいくのですが、その短縮が限界に達すると、DNA鎖の先端がむき出しになってしまいます
これを末端保護問題(end protection problem)と言うのですが、DNAの複製工場は操業停止となり、細胞は分裂することが出来なくなってしまいます

通常、怪我や病気をすると、細胞は分裂し欠損した細胞を補う様に分裂を繰り返しますのですが、人間の細胞分裂の上限回数は決まっており、その数は40〜60回とされており、それは110年から120年ぐらいの時間にあたります。
この事から、理論上ではありますが人間は病気、ケガをしない限り、120年程度生きられると考えられているのです

つまり、細胞分裂の要である「テロメアが縮む」というのは「寿命を縮める」ことと同義なのです。

整形を繰り返す方や不摂生な生活を送っている方が、病気になり易い、体が弱くなりがちと言われているのも、壊れた細胞を修復する為に細胞分裂が加速し、テロメアの縮小が進んだ結果、免疫が落ち、老化が進行した結果なのです。

ちなみに一昔前は、テロメアの短縮を遅らせる事が出来て、尚且つ細胞分裂が永遠に続けられれば「不老不死」になれるのではないか、と言う仮説が提唱されたほど細胞にとって、また生命維持にとっては重要な組織なのです。

実際、この研究では13万人規模の調査を行い、親の育児を「冷たいと感じた子供」と「暖かいと感じた子供」で比較を行ったそうです。
その結果、親の育児を「冷たいと感じた子供」「暖かいと感じた子供」と比べて、平均25%テロメアの減少が見られたと言うのです。

驚くべき数字ですよね。
また過体重(肥満)・教育レベルが低い子供程、「冷たい育児」の影響を受けやすく、特にテロメアへのダメージが大きいことも分かりました。

ポイント
  • 親が冷たい育児をすると、子供のテロメアが縮小
  • テロメアは細胞分裂を司る重要な組織
  • テロメアの縮小=老化が進み、疾患リスクが増え、結果的に早死にのリスクが増える
  • 肥満、教育レベルが低い子供は特に「冷たい育児の影響」を受け易い

遺伝子は生まれた時に全て決まっていて、変化はしないものだと思っていました。

「ネグレクト(育児放棄)」と言う言葉を最近耳にするが、やはり子供には親の愛情が必要だということがよく分かる研究じゃな。

両親の喧嘩

僕の友人で親が仲悪いって言ってた人は漏れなく地元のヤンキー達でした。

実はそれは当然の成り行きなんじゃよ。
最新の研究では「親の不仲」と「子供の問題行動」は相関性があるという事が分かっているんじゃ。

第4のNG行動は「両親の喧嘩」です。
今回はノートルダム大学が行った「両親の喧嘩がどれほど子供に有害なのか」を調べた研究です。

調査対象は9歳から18歳までの男女226名、5歳から7歳までの232名を対象に、「両親がどれほど仲が悪いか(両親の不仲レベル)」と「子供達の情緒不安定さ」について調べた研究です。

この研究を通じて、大きく分けて3つの傾向が見えてきました。

1つ目は、「両親が子供の前で喧嘩をしても有害な影響をもたらさない」ということが分かりました。

「よかったー!喧嘩は問題ないのか!」と思ったら大間違いです。

これには条件があります。
それは「両親が子供の前で喧嘩をしても、喧嘩の原因となった問題が解決されていれば悪影響はないという事です。

要するに、喧嘩をしても問題はないですが、その問題を蔑ろにせず、夫婦できちんと向き合い、都度問題を解決していれば悪影響をもたらさないと言う事です。

逆に言うと、「両親が子供の前で喧嘩し、喧嘩の原因が解決しなかった場合は悪影響」をもたらします

相手にするのが面倒臭い、時間が経てば機嫌も直るでしょうと問題をなあなあにしてしまうと子供には悪影響があるというのです。

2つ目は、両親が対立が解消されず不仲が続いた場合、子供たちは「鬱」、「不安」、「行動上の問題」等を訴える事が分かりました

よく学校で「親同士の仲が悪くて子供がグレてる」なんて話がありますが、これは親同士が喧嘩している事ではなく、喧嘩して対立した問題が全く解決されずに時間の経過と共に溝が深まった結果が招いた結果と言えるのです。

3つ目は「親の不仲と子供の情緒不安定の相関性は、幼い子供より10代の子供の方が更に強かった」と言う事です。

親が喧嘩し「両親が不仲」な事によって「子供が情緒不安定」になるかどうかは、子供が幼少期の時より、10代の子供の方が影響を受け易く、問題を起こしやすかったのです。

親も人の子です。
今まで全く違った環境で育ってきた者同士が共に生活をするのですから、お互いの嫌なところ、日々の生活の中での不満など沢山出てくるでしょう。

そういった事が原因となる喧嘩は、子供が10代になる前に全て終わらせておく、というのが最適解と言えます。

子供が10代になれば、「親も人間だから喧嘩もするでしょう」なんて子供が理解してくれると思ったら大間違いと言う事ですね。

ポイント
  • 子供の前での喧嘩は根本原因が解決されれば問題なし
  • 逆に根本問題が有耶無耶のままだと悪影響を及ぼす
  • 両親の不仲が続くと子供は「鬱」や「問題行動を起こす」傾向がある
  • 両親の不仲が与える影響は特に10代の子供に強く現れる

僕も過去を振り返ると僕の両親もよく喧嘩していましたが、きちんと解決していた様に思います。

子供ながらに両親の喧嘩を見てるのは辛かった記憶がありますね。

子供は親の関係性などに敏感じゃからな。

日常的にその様な人間関係の中で生活するというのは、大人より子供の方がストレスを感じ易いんじゃよ。

体罰

よく「しつけ」と称して体罰を正当化している人いますよね。
僕も体罰は決してあってはならないと思ってます。

体罰は軽度であっても子供にとっての悪影響は計り知れない。
意味がないどころか寧ろマイナスな影響しか生まないんじゃ。
その影響は子供の将来に直結してくるものが多いぞ。

体罰は確実に子供の問題行動に繋がります。

「昔は怒ってくれる先生がいたから云々…。」と言って体罰を正当化する時代がありましたが、その頃は統計的なデータはありませんでしたからね。

「体罰」は意味がないだけでなく、寧ろマイナスしか生み出しません。

近年の研究では体罰を受けた子供は社会適応性や言語・運動能力の発育が遅れやすいという傾向があることも分かってきました。

30年程前から、体罰が与える悪影響に関しては研究が進められており、様々な研究が行われた中でも「体罰を受けた子どもは攻撃的な性格になる(暴力的になる)傾向が強い」という結論はどの研究でも一貫しており、20年程前からは、体罰の悪影響として子どもの攻撃性につながる点だけではなく、成人期における精神的健康などに視点を広げて研究が行われています。

1999年にCMAJに掲載された論文では、カナダ国内の大規模な調査を行い、小児期に平手打ちやお尻たたきを受けた経験と精神障害の有病率との関連が示されました。
この結論は次々に他の研究でも裏付けされていき、体罰は鬱病不幸不安絶望感薬物アルコールの使用、一般的な心理的不適応など、幼少期から大人に至るまでのさまざまな精神的健康問題に関連しているという考えが認知されるようになったのです。

日本でも、厚生労働省の調査データ約2万9000人分を使い、3歳半の時にお尻をたたくな
どの体罰の有無が、5歳半に成長した時の行動にどう影響しているか分析した結果、3歳
半の時に保護者から体罰を受けていた子供は、全く受けていなかった子どもに比べ、5
歳半の時に「落ち着いて話を聞けない」という行動のリスクが約1.6倍「約束を守れな
い」
という行動のリスクが約1.5倍になるなど、問題行動のリスクが高く、体罰が頻繁に
行われるほど、リスクは高くなっていました。
また「1つのことに集中できない」「我慢ができない」「感情をうまく表せない」「集団で行動できない」という行動のリスクも高まるとされています。

また、16万927名の子供たちの過去50年間の75の研究を使用したメタ分析においては、お尻を叩くという軽い体罰も下記の有害な結果と関連することが明らかになっています。

  • 低い規範の内面化(社会適応性の欠如)
  • 外在化問題行動(非応諾性、攻撃、非行、癇癪、多動性等)
  • 内在化問題行動(恐怖、身体的な訴え、 不安、社会的引きこもり等)
  • 心の健康問題(うつ病、不安障害)
  • 否定的な親子関係
  • 認知能力障害
  • 低い自己肯定感
  • 大人になってからの反社会的行動
  • 暴力に対しての肯定的な態度
ポイント
  • 体罰は将来的に子供の問題行動に確実に繋がる
  • 身体的ダメージだけでなく、精神的健康問題にも著しく悪影響
  • 非行や暴力的行動など、社会性にまで悪影響が及ぶ

よく虐待を受けた子供は、自分の子供に対しても虐待を行うと言われていますが、こういうエビデンスが証明しているんですね。

子供の頃に体罰を経験していると、自身の子供に対してだけでなく親密なパートナーによる暴力の被害者にも加害者にもなる危険が増す。
子供時代の暴力の経験は、大人になってからの暴力の経験にリンクするんじゃ。

まとめ

子供の頃を思い返してみると、この様なNG行動を受けた方も多いと思います。
一昔前はこの様な研究があまりなされておらず、私たちの親世代は手探りの中で子育てを行なっていたはずです。

しかし、現代では様々な研究が進められ統計的にこれらのNG行動が及ぼす悪影響がエビデンスとして示されています。

特に親の喧嘩に関してはどこのご家庭でも起こりうる事象です。
育児に追われる中で喧嘩をして、面倒だからと問題解決せずに有耶無耶にしてしまっている事、多かれ少なかれある方も多いのではないでしょうか。
積極的に夫婦の話し合いや二人だけで過ごす時間も大切だと感じさせられますね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました