マインドフルネス ≠ 瞑想
そもそもマインドフルネスとは
「今、この瞬間に注意を向け、気づいたものをあるがまま受け入れること」です。
「マインドフルネス」って「瞑想」の事を指してるんじゃないですか?
よく混合されがちじゃが、「瞑想」はMEDITATION(メディテーション)=「自分の為になる何かをする時間を意図的に設ける」事を指すのじゃよ。
つまり、故意に自分に有益なことをしている限り、それが何であろうと「瞑想」なのじゃ。
よく聞く「マインドフルネス瞑想」は「今、この瞬間に注意を向け、気づいたものをあるがまま受け入れること」を可能にする為の脳を作る為のトレーニング方法の一つに過ぎんのじゃ。
そうなんですね。
よくセットで聞く言葉なので混合しちゃってました。
どちらにも幾つもの定義が存在していてお互いが密接に関連しているからじゃな。
言い換えれば、その違いがいまいち分からないのも当然だという事じゃ。
「瞑想」と聞くと堅苦しくて敬遠されがちじゃが、「マインドフルネスの状態」を作る為には様々な方法があるんじゃよ。
mindfulness(マインドフルネス)=現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程
瞑想(MEDITATION(メディテーション))=マインドフルネス状態を作る為の訓練方法
実は近年、医師がストレスによる体調不良を訴える患者に対して瞑想を勧める機会も増えており、医学的な解決策としてもマインドフルネスは身近なものになってきているのです。
健康面や脳科学において様々な効果が期待されているマインドフルネスですが、そもそもマインドフルネスとは何なのか?瞑想とは何なのか?
また、人体にはどの様な効果があるのかをご紹介致します。
マインドフルネスとは
マインドフルネスとは、「今、この瞬間に注意を向け、気づいたものをあるがまま受け入れること」を指します。
マインドフルネスを行えば、心身ともに様々な良い作用が期待できます。
マインドフルネスのルーツは仏教です。
1950年代に、多くの仏教の僧侶たちがアメリカに渡り、そこでマインドフルネスがアメリカで広まりました。
その後、1979年にマインドフルネスがもたらす効果が医療の分野に導入され研究が盛んに行われ、結果、マインドフルネスには様々な効果があると科学的に証明されたのです。
2010年代にはgoogle社を始めとするシリコンバレーの企業群が「マインドフルネス瞑想」を人材育成の研修に取り入れ始めたのです。
その動向が日本でも知られるようになり、逆輸入の形で日本でも話題になりました。
マインドフルネスの研究が始まったのはごく最近の事なんですね。
かの有名なスティーブ・ジョブズもマインドフルネスを実践していたのは有名な話じゃな。
マインドフルネスがもたらす効果
まずマインドフルネスが人体にもたらす代表的な効果7つを見ていきましょう。
- ストレス/不安の軽減
- 学習力/記憶能力/集中力の向上
- 高血圧予防
- 慢性疼痛の改善
- 不眠症/睡眠の質改善
- うつ病の再発防止・軽度のうつ病の症状改善
- 感情コントロールの向上(共感力・おもいやり・適切な意思決定・幸福感など)
ストレス/不安の軽減
マインドフルネスにより不安感や抑うつ感を改善させる効果が認められています。
日々の仕事や人間関係などによって大きなストレスや不安を感じている人もいるのではないでしょうか?
放置しているとネガティブ思考に陥りやすくなり、うつ病などの精神疾患に繋がりかねません。
種々の実験によって、マインドフルネスを始めとした各種の瞑想法に、ストレスを軽減する効果を得られることが示唆されています。
学習力/記憶能力/集中力の向上
瞑想は五感に意識を向けるので、余計な考えではなく「自分が何を感じるか」の一点に思いを集中できます。
そのため、毎日瞑想に取り組むことで高い集中力を養えます。
「仕事に集中しなければいけないのに全然集中できない」
「集中しようと思ってもすぐに思いがそれてしまう」
と悩んでいるなら、瞑想で集中力を高めるのがオススメです。
また、瞑想には脳の情報処理能力のアップが期待されています。
最適な言動・意思決定のためには、まず自分と周りの状況をクリアに認識する力を身に付けなければなりません。
入ってきた情報を適切に処理できるようになれば、重要な決定をするときも落ち着いて判断できるでしょう。
集中力を高めたいと考えている人や、判断力を向上させたいと考えている人こそ瞑想に取り組む価値があります。
高血圧予防
NCCIH(アメリカ国立補完統合衛生センター)が行った実験によると、瞑想は高血圧症を発症するリスクが高い人に対して、血圧を低下させる効果を持つ可能性が示唆されています。
現時点で高血圧の予防に役立つと言い切れるほどのエビデンスはないものの、複数の実験が血圧を低下させる可能性を示唆しています。
高血圧予防を目的として瞑想に取り組む価値はあるでしょう。
人間はストレスを感じると血圧が上昇することが知られています。
これを昼間高血圧やストレス下高血圧などと呼び、仮面高血圧の一種として身体に負荷を与えるものです。
瞑想はストレスを低減させる効果を持っているため、ストレスに起因する高血圧を防げる可能性があるでしょう。
慢性疼痛の改善
米国オステオパシー協会発行の学術誌(Journal of the American Osteopathic Association)の研究によると、マインドフルネスに基づくストレス低減(MBSR)コースは、慢性的な痛みやうつ病の患者に効果があり、参加者の痛み、気分、機能的能力の大幅な改善につながることが示されました。
調査回答者のほとんど(89%)は、プログラムが痛みにうまく対処する方法を見つけるのに役立ったと報告し、残る11%は変化なしと報告したとの事です。
不眠症/睡眠の質改善
瞑想には不眠解消の効果があることが知られています。
瞑想は精神統一することで身体面・精神面の双方を健康にするものです。
そのため寝る前に瞑想に取り組むことで、気持ちが落ち着き、寝付きが良くなります。
不眠に悩まされている人は、これから紹介する瞑想を取り入れてみてはいかがでしょうか?
うつ病の再発防止・軽度のうつ病の症状改善
うつ病の病歴がある人は、再発を繰り返すリスクが高いことが知られていますが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken博士らによる研究によると、マインドフルネスをベースとした認知療法(マインドフルネス認知療法:MBCT)を行うことでこのうつ病の再発リスクをも抑制することが分かりました。
この臨床研究では、3回以上の再発を経験したうつ病の患者さん424人を被験者として、半数を抗うつ薬治療を受ける群、残り半数をマインドフルネス認知療法(MBCT)を受ける群に分け、2年間追跡したところ、マインドフルネス認知療法の再発予防効果が、抗うつ薬の群と同等であることが判明したのです。
また、マインドフルネス状態は気分を安定させるだけでなく、前向きな気分に切り替えることも可能です。
気が立ったり緊張したりするのは、2つの自律神経のうちの1つである交感神経が強く働いているためです。
瞑想を行うと、もう1つの自律神経である副交感神経が優位に。
その結果、負の感情がコントロールされ、前向きな気分になります。
また、瞑想によって幸せホルモンと言われるオキシトシンが分泌されることも、前向きな気分への切り替えを手助けしています。
感情コントロール力の向上
2013年に行われた実験によると、瞑想は脳内で感情処理を司る扁桃体に影響を及ぼす可能性が示唆されています。
そのため、継続的に瞑想に取り組むことで感情コントロール力を向上させ、ストレスなどに対処できるようになります。
感情をコントロールできるようになれば、一時の感情に流されて誤った判断・行動をする危険性を減らせるでしょう。
瞑想を始めたからといってすぐに感情コントロール力を高められるわけではありません。
しかし一定期間継続することで、徐々に力を付けられます。
瞑想に取り組むうちに「以前より落ち着けるようになった」「いざというときでも冷静に判断できるようになった」と感じるようになるものです。
瞑想
マインドフルネス状態を作る方法として、メジャーなものに「瞑想」があります。
瞑想自体の歴史は古く、歴史的な資料としてもっとも古いのが、モヘンジョダロの遺跡から発見された印章の中にあります。
モヘンジョダロはハラッパーとともにインダス文明の中心都市ですから、今から約5000年前、紀元前3,000年から2,500年にかけて繁栄した街です。
ですので、瞑想という行為自体は今から約5,000年前には既にもう行われていた訳です。
そして、瞑想の種類は約500種類以上にも及ぶと言われています。
その中でも今回は比較的日常生活にも取り入れやすい瞑想法を紹介させて頂きます。
瞑想をする前に
瞑想をする場所
最初はリラックスしやすい場所・人の声や物音が少ない、気が散りにくい場所が良いでしょう。
慣れてくると、オフィスの自席や電車の中などでもできるようになります。
瞑想のタイミング
瞑想をするタイミングとしておすすめなのは、「活動を切り替えるとき」です。
起床後これから活動を始めるとき・仕事を始めるとき・別の業務に移るとき・寝る前など。
会議の前に全員で瞑想を取り入れる会社もあります。
そうすると意識がスッと切り替えられて次のタスクに臨みやすくなるのです。
今はテレワークで仕事と生活がひと続きになっていて、オンとオフの切り替えられないと感じている方も多いと思います。
そういった方はパソコンに向かう前にするのもおすすめです。
おすすめ瞑想3選+1選
マインドフルネス呼吸瞑想
瞑想にもさまざまなやり方がありますが、1つ目は最もスタンダードで誰でもやりやすい「マインドフルネス呼吸瞑想」をご紹介します。
1.良い姿勢で坐る
床に座布団や坐布を置き、その上にあぐらをかいて腰掛け、良い姿勢を作り座ります。椅子や正座でも可能です。手のひらを下にむけ、膝や太ももの上に置き、背筋を伸ばします。目は優しく開けたまま伏し目がちに(半眼)して、1.5~2m先の床を柔らかく眺めます。
2.自分の呼吸に意識を置く
今まで、無意識に行っていた自分自身の自然な呼吸に意識を置きます。
3.感情や思考が浮かんでも、それを追わず呼吸に戻る
何か考えていることに気づいたら、それを追いかけず、「考えた!」とココロの中でつぶやいて、意識を呼吸に戻します。
感情や思考に何も判断を加えず そのままにして、ただ呼吸に戻る繰り返しは、何度でも「今」に戻ってくる練習になります。
マインドフル・ウォーキング(歩行瞑想)
グーグルの社員研修プログラムSIY(Search Inside Yourself)でも実践されている典型的なムーブメント瞑想に歩行瞑想が採用されています。
「歩行瞑想」は「マインドフル・ウォーキング」とも呼ばれており、通常のマインドフルネスの効果に加え、運動不足解消の効果まで有り、まさに一石何鳥もの効果をもたらします。
1.リラックス状態を作る
身体の力を抜いて手と腕をリラックスさせます。
深呼吸を何度か繰り返した後、自然なペースで呼吸を行いながら、ゆっくり歩き出します。
2.感覚に意識を置く
地面に触れている自分の足の裏の感覚を注意深く観察します。
ゆっくり歩きながら左右の足の「床から離れる、足が前に出る、足が下りる、地面につく」という感覚に集中する。
日常的に行う為に簡略化する場合は、左右の足が「地面についた、離れた」という2つの感覚だけに集中する。
トラタカ瞑想
トラタカ(凝視)とは、ロウソクの炎などの対象物一点に集中する瞑想法です。
これにより、普段休みなく動いている眼球の動きを止め、続いて心の動きも静止させます。
対象物に意識を向け続けることで、思考を停止し、集中力を高めマインドに覚醒をもたらします。 そして「今この瞬間」に留まる事ができます。
1.良い姿勢で坐る
床に座布団や坐布を置き、その上にあぐらをかいて腰掛け、良い姿勢を作り座ります。椅子や正座でも可能です。
背筋を伸ばし、あごを軽く引きます。
2.キャンドルの火に意識を置く
目線の先40~60㎝くらいにキャンドルを置きます。
炎の光を優しく見守るように2~3分程度瞬きせずに見続けましょう。考え事が出てきたり、目が乾いてきたらそっと瞬きをして再びキャンドルの炎を見続けます。慣れてきたら5分、10分と時間を延ばしてもよいでしょう。
どうしても瞑想が苦手な人向け「円を描く」
どうしても瞑想がうまくいかない、コツが掴めない、といった方も多いのが瞑想です。
瞑想と聞くとなかなか構えてしまって、頭を空っぽに出来ない方もいらっしゃると思います。
そんな時、特別な事でなくても日常の生活の中で自然とマインドフルになれたり、瞑想効果を得られる事が重要です。
一番簡単な方法としては「円を描く」事です。
1.描くものと紙を用意する
描くものは鉛筆、ボールペン、クレヨン、絵の具など何でも良いです。
2.ひたすら円を描く
クルクルクルクル……ただひたすら無心になって円を書き続けるだけです。
円は描いているけれど「何も考えていない」という状態になる事で
瞑想に似た効果を得られます。
瞑想オススメグッズ
いざ瞑想を実践してみて、瞑想を周囲の音が煩くて集中出来ない、いまいちリラックスが出来ないといった悩みを抱える方は少なくありません。
実際に使ってみて良かったリラックスアイテムをいくつか紹介しますので、参考にしてみて下さい。
簡易防音室は少し値段が張りますが、周囲の音が気になる方は瞑想の質が高まりますし、瞑想以外にも自宅での仕事、音楽演奏などにも使って頂けるのでコスパは抜群です。
まとめ
マインドフルネスの効果、マインドフルネス状態を作る為の訓練法として瞑想を紹介しました。
マインドフルネスや瞑想に関しては、一昔前までどこか「胡散臭い」「宗教色が強くてちょっと…」と言う方が多かった様に思います。
しかし、人類の科学の進歩によって、マインドフルネス、瞑想の分野の研究が進み、人体に様々なポジティブな効果が得られる事が明らかになってきたのです。
昨今のコロナウイルスの拡大によって、人類の生活は著しく変化しました。
先が見えなくて不安になる事や、生活スタイルの変化によって今までは感じなかったストレスに悩まれてる方も多いと思います。
マインドフルネスを生活に取り入れる事で、頭をクリアにし、心と体の健康を手に入れるヒントになれば幸いです。
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